企業再生というのは、財務や事業の見直しなどにより経営改善を図ることです。
大企業・中堅企業に対しては、様々な再生手法があり、民間の投資ファンドも積極的に動いてますが、中小・零細・個人企業に対しては、その選択肢は限られており、さらに個人保証等の中小企業特有の問題があります。再生について検討するときは、何と言っても現状把握とこれからの目標を設定することが大切です。経営改善はどんな企業でも常に行っていかなければならないものですが、その為の現状把握について今回3つのポイントをご紹介したいと思います。

POINT 1 『 時価ベースB/S(貸借対照表)を作成してみる』
時価で評価した貸借対照表で資産のバランスを把握することです。帳簿価額で計上された資産の中には、時価でみると下落(又は上昇)しているものが多数あります。株式・土地・ゴルフ会員権…売掛金も回収不能なら無価値ですし、在庫も同様です。取得価額が時価とかけ離れているときは、従来の貸借対照表をみても錯覚するだけです。時価ベースの貸借対照表を作成し、従来のものと比較してみましょう。企業の実態がわかると思います。

時価B/S(貸借対照表)
流動資産
負  債

固定資産

資  本

POINT 2 『目標損益の計算』

 翌期又はそれ以後の期について目標(又は予算)損益の設定をすることです。損益計算書で前期と比較して 増加したとか減少したとか言っていてもあまり意味はありません。目標値(又は予算)と比較すべきです。前期がたまたま良かったり悪かったりしたときに、その数字と比較しても有益とはいえないからです。予算は月次で設定し、管理します。また、これと連動して資金繰りの予算も設定することが望ましいといえます。目標値を設定する過程で、その企業の課題が浮かび上がってくるものです。

P/L(損益計算書)
原  価
売  上
経  費
利  益

POINT 3 『キャッシュフロー分析

 キャッシュフロー分析が最も重要です。キャッシュフロー計算書を作成し、借入返済前キャッシュフローと金融機関への約定返済額とのバランスをみます。これには大きく分けて三つのパターンがあります。A社は、借入約定返済後でも十分現預金があり特に問題はありません。
B社は借入返済前キャッシュフローが約定返済額より少なく、現預金が減少しているので資金手当てが必要であり、かつ、キャッシュフローの増加を考えなくてはなりません。C社は、借入返済前キャッシュフローがマイナスでありキャッシュフローの改善が急務です。キャッシュフロー分析では、たとえ利益が出ている企業でも資金面で問題がないか検証することができます。

C/F(キャッシュフロー計算書)
営業支出
営業収入
設備投資
借入返済
現預金増加

キャッシュフロー分析の3つのパターン

 
A社
B社
C社
借入返済前C/F   100    30  △20
借入約定返済    50    50    50
差引現預金増加    50  △20  △70