企業再生というのは、財務や事業の見直しなどにより経営改善を図ることです。
大企業・中堅企業に対しては、様々な再生手法があり、民間の投資ファンドも積極的に動いてますが、中小・零細・個人企業に対しては、その選択肢は限られており、さらに個人保証等の中小企業特有の問題があります。中小企業の再生法には、どのようなものがあるか見てみたいと思います。また、公的な組織として各都道府県に設置された中小企業再生支援協議会の手法例も紹介します。

1.企業再生の手法
(1)リスケジュール
 借入金について長期分割等返済条件の見直し
(2)DES(デットエクイティースワップ)
 DESとは、債務を株式に交換することです。金融機関が債務者企業の再生支援のために、貸出債権の一部を株式に転換することによって、債務者企業の過剰債務を圧縮し、自己資本比率を改善させることができます。
(3)DDS(デットデットスワップ)
 DDSとは、金融機関が保有する貸出金の一部を資本的劣後ローン(返済順位が通常ローンに比べて劣後するローン)に変更する手法です。一定の要件を満たせば、債務者企業の自己資本がDDS実行分だけ実質的に増加する効果があります。
(4)債務免除
 企業が清算した場合の回収予想額と存続させた場合の回収可能額とを比較し、存続させた場合の方が大きい時は、経済合理性の観点から一部債務免除を行い企業の体力に見合った額にまで債務を圧縮して企業を存続させることがあります。(例 RCC)
(5)営業譲渡・会社分割・M&A
 事業再生の受け皿として採算部門を継続会社へ移転するための手法です。
(6)地域中小企業再生ファンド
 中小企業基盤整備機構の出資により各地に設立された地域中小企業再生ファンドを始め、中小企業再生ファンドを活用した資金調達や債権買取等の金融支援が増加しています。

2.中小企業再生支援協議会
(中小企業の再生支援のための各都道府県に設置された織)
計画策定案件の手法例(15.9までの活動実績)
財務面での再生手法(1〜137号案件)

リスケジュール
資産の売却
経営者等の私財提供
役員借入の株式化(DES)
RCCによる債務免除
債権回収会社による債務免除
経営者からの個人借入
経営者退任による退職金の廃止
役員退職金(未払金)の株式化(DES)
役員借入の一部債権放棄
地域中小ファンドによる投資
新会社へのスポンサーからの資本増強
経営者出資資本の減資
少人数私募債
経営者からの増資
関係会社からの増資 
役員・従業員・取引先による増資
メインバンクDDS
預金担保圧縮
その他 新規借入他
62件
51
18
 9
 4
 2
 2
 2
 1
 7
 3
 1
 1
 1
 4
 3
 1
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 2