今回のテーマは、事業承継です。相続税の申告については、亡くなった方のうち相続税が課税されるのは、
最近では5%を切っているといわれています(20〜25人に1人の割合)。
事業承継では、単に相続税の節税ということだけではなく、
自社株や納税資金の事も含めて検討する事が重要です

事業承継、相続対策の全体像は次のようなものです。まず、現状の財産を評価し、推定相続税額を算出します。これを基に自社株を後継者に引き継ぐ対策や相続税の節税対策、納税資金対策を行います。



自社株対策

自社株を後継者に引き継いでいくとともに、安定株主の確保もしていく必要があります。取引相場のない株式については、評価額が高くなっているケースがありますが、一方で経営権の確保の問題がありますので、とるべき対策は限られたものになります。

経営権に影響しない株式を配当還元方式により譲渡・贈与
 
同族関係者以外の人に株式を譲渡又は贈与します
従業員持株制度
 株式を社外に流出させないで従業員に譲渡します。
取引相場のない株式の評価額の引き下げの検討
 
純資産の価額、類似業種比準価額の引き下げについて検討しす。

相続税対策
相続税の節税をするとともに、後のトラブル防止のため、遺産分割対策として財産の移転先を あらかじめ決定しておく事が重要です。
相続税を少なくする場合は、贈与等により財産そのものを減らす方法、不動産などの財産の評価額を減らす方法、特例を利用する方法等が考えられます。

配偶者への居住用財産の贈与
 婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産を配偶者へ
 贈与した時は、2,000万円の控除があります。
生前贈与の活用
 相続時精算課税制度の利用、住宅取得資金の贈与、
 非課税枠110万円内での贈与を行います。
賃貸用不動産の取得
 賃貸用建物を取得することにより、相続財産の評価額を
 下げることができます。
不動産の評価額の引き下げの検討
 土地の有効利用等について検討します。


納税資金対策
相続が発生した場合、預貯金等で相続税が支払える場合は問題ありませんが、そうでない場合は、納税資金の調達方法を検討しておく必要があります。相続財産が自社株や不動産の場合は、この対策が必要になります。

延納又は、物納の検討
 相続税を一時に納付する事が困難なときは、延納制度を利用する
 ことが考えられます。
 また、それでも納付が困難なときは、物納制度を利用する
 事ができます。
自社株の法人への譲渡
自社株式をその法人に買い取ってもらい納税資金とします。
不動産の譲渡
 不動産を売却して納税資金とします。
生命保険・退職金の利用
 生命保険、死亡退職金は、相続人1人当たりそれぞれ500万円が
 非課税となり、弔慰金は、業務上以外の死亡で6ヶ月の給与迄は、
 非課税となります
(業務上の死亡は3年分)ので、この資金を利用します。